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令和7年6月定例会で通算13回目の一般質問に!①高校の魅力化
1.高校の魅力化の推進について
①地域との協議の場を設ける考えは?
県教育委員会は、令和8年度から17年度の10年間を期間とする第八次秋田県高等学校総合整備計画の策定を進めており、少子化に歯止めがかからない中、各地区で統合や地域校化の再編を進めることとしています。
当該計画素案の中で能代市の3校は2校への再編構想が示されました。能代山本は地区外への流出が特に多く、中学卒業生の減少がさらに進むと予想されることから、前半5年間の前期期間中に地域と協議を行い、具体的な構想案を示し、後半5年間の後期計画での実現を目指す方針です。構想は2校でありますが、今から手を打たないと地域外への流出と少子化が相まって1校への統合が現実路線になり得ます。
県内各地区で厳しい状況にありますが、既に対策に乗り出している自治体もあります。にかほ市では仁賀保高校が市内唯一の高校でありますが、定員割れが続き、仁賀保高校、由利工業高校、西目高校の3校を統合する案が示されていました。しかしながら、仁賀保高等学校魅力化推進地域連携協議会を設立し、地域との連携や学校の魅力向上に取り組み、存続に向けて活動することで、統合案から教育効果や入学者数の推移を見極めながら今後の方向性について検討していく方針へと変わりました。
別の地域の高校へ進学する場合、距離や家庭の経済状況等によっては世帯ごと引っ越すケースもあり、高校の減少、廃校は子育て世帯の流出につながります。県立高校に関することであり、県教育委員会が主導することではありますが、市として地域の各団体等と協議を重ね、高校の存続に向けて魅力化に取り組む方針を発信することが重要だと考えます。
Answer. 市内の高等学校の生徒数は少子化や他地域への進学等により年々減少しており、定員数が削減されているにもかかわらず、定員割れとなっております。高校は将来の進路の選択を迫られる多感な時期を過ごす学びの場であると同時に、地元就職や将来のUターンを考える上で地元への愛着心を育む貴重な経験ができる場でもあります。高校数の減少は、地元の中学生にとって進路の選択肢が狭まり、市外への通学による負担が増えることが懸念されるほか、地域経済に与える影響も大きいものと考えております。
こうした中、にかほ市では、市内唯一の高校である県立仁賀保高校の魅力を高め、地域と連携した特色のある学校とすることで、生徒を呼び込み、存続させる取組を進めるため、令和6年に、行政、高校、地域関係団体で組織する仁賀保高等学校魅力化推進地域連携協議会を設立しております。同協議会では、市長や中学生も参加するなど地域が一体となってワークショップ等で協議を重ねながらビジョンを策定し、学習センターの開設や高校魅力化コーディネーターの配置等、具体的な施策展開に至っていると伺っております。
高校の魅力化の推進は、これからの社会を見据えた人材の育成につながるだけでなく、市内高校の生徒数の増加、地域の活性化、さらには人口減少対策としても重要な役割を果たすと考えております。市内高校や関係機関の皆様の御意見をお伺いしながら、地域と連携した協議の場の設置について検討してまいります。
②コーディネーターを配置する考えは?
人口減少、少子化により全国的に高校の廃校が進んでいますが、特色化、魅力化を進めることで志願者数を増やし、存続に成功している事例も見られます。島根県の隠岐島前高校では教育魅力化プロジェクトに取り組み、島前3町村と島前高校、島根県が連携し、全国から生徒が集まる特色ある学校づくりを行っています。全国から生徒が入学する島留学制度の導入等により異例の学級増となりました。能代市においても、地域、学校、行政が連携した魅力的で持続可能な学校と地域をつくることで高校の存続につなげ、人口流出の抑制を図るべきではないでしょうか。
高校の魅力化では、高校と地域をつなぐコーディネーターが重要な役割を果たしています。コーディネーターは、高校と地域の協働の組織体制づくり、地域に開かれたカリキュラムづくり、地域社会での学習機会づくり、県外、海外からの生徒募集、受入れ体制の整備といった様々な職務に取り組みます。こうした地域・教育魅力化コーディネーターが全国的に広がりを見せており、魅力化の推進につながっています。
Answer. 文部科学省が定める学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」の実現を基本的な理念に掲げ、よりよい学校教育を通じてよりよい地域をつくるという目標を学校と地域とが共有し、地域との連携・協働によって学校教育の実現を図ることで、新たな時代に必要となる資質・能力を育成することとしており、高校と地域の協働が重要であるとされております。
コーディネーターは、学校と地域、企業、大学など社会の様々な主体との橋渡し役を担い、生徒が実社会と接しながら学ぶ機会を創出する専門人材であり、地域資源を生かした教育環境づくり、新たなカリキュラムの開発や他地域からの生徒の受入れ等、その内容は多岐にわたり、高校と地域の連携強化に大きく寄与することが期待されます。
市といたしましても、コーディネーターの配置は、社会に開かれた教育課程の実現に資するとともに、高校の魅力化を図る上で有効な方策の一つと考えておりますので、市内各高校や関係機関の御意見をお伺いしながら検討してまいります。
③地域みらい留学に参画する考えは?
少子化が進む中で、高校の存続には地域外からの入学者の増加が欠かせません。そこで、「地域みらい留学」という地方の高校へ進学する都会の中学生と全国から生徒を募集する公立高校との出会いを生み出す取組が行われています。現在169校を超える日本各地にある魅力的な公立高校の中から、住んでいる都道府県の枠を超えて、自分の興味関心に合った高校を選択し、高校3年間をその地域で過ごす国内進学プログラムです。生徒は地域の人々と関わりながら多様な経験と挑戦の機会を得て、個性と自立心を育むことができます。地元の高校生にとっても地域外からの留学生と一緒に学ぶことは、新たな気づきや、よい刺激を得ることにつながります。
県内では、男鹿海洋高校、角館高校が留学校となっており、来年度からは矢島高校も受入れを開始します。市内の高校の魅力化を進めた上で、能代市としても地域外からの生徒の積極的な受入れに取り組むべきではないでしょうか。
Answer. 地域みらい留学は、生徒が現在住んでいる都道府県の枠を超えて全国各地の公立高校へ進学し、3年間その地域で学ぶことを可能とする国内進学プログラムであり、平成19年に島根県隠岐島前高校で始まった島留学の成功を契機に全国へと広がっております。現在では36道県169校以上が参画し、これまで4,000人を超える高校生が地方の高校で特色ある教育を受けており、こうした取組が新たな人の流れを生み、将来的な地域の担い手の育成、確保が期待され、関係人口の創出や移住につながっている事例も見受けられます。
本市の高校の生徒数は減少傾向にありますが、本地域の教育資源を生かした取組を推進し、地域みらい留学への参画により魅力を全国に発信することで、県外からの生徒を呼び込むことが可能となります。また、地元生徒と留学生との交流により刺激が生まれ、双方の視野が広がるとともに、本地域の魅力の再発見にもつながるといった様々な効果が期待できるものと考えております。
こうしたことから、本市でも実施の可能性について検討を始めておりますが、地域みらい留学に参画する高校、自治体数は年々増加している状況にあり、留学先として選ばれるには、高校側と意識を共有し、この地域ならではの特色ある教育を提供することにより、他校との差別化を図る必要があります。また、生徒の受入れに当たっては、住まいの確保や生活全般にわたる支援体制の構築等様々な課題があると認識しております。
市といたしましては、第3期のしろ創生総合戦略において地域に根差したふるさとキャリア教育の推進を掲げ、教育による人づくり、つながりづくりに取り組むこととしており、学校や関係機関の皆様の御意見をお伺いしながら課題を整理し、地域みらい留学への参画を目指してまいりたいと考えております。
※ホームページ用に簡略化して記載しています。正確な質問、答弁内容は能代市議会議事録をご覧ください。
●高校の魅力化について非常に前向きにとらえていただいたと思います。定員割れが深刻になっており、もっと早い段階から高校の魅力化を提案すればよかったという後悔の念もあります。
スピード感をもって進めていただけるよう今後も提言してまいりたいと思います。
→ 令和7年9月定例会で補正予算が組まれ、高校の魅力化に関する協議会を立ち上げ、講演会やワークショップにかかる関係予算が盛り込まれました!


