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令和5年6月定例会で通算5回目の一般質問に!②デジタル・トランスフォーメーション(DX)
2. デジタル・トランスフォーメーション(DX)について
①DX人材の確保状況は?
前年度については、DX推進に必要な人員は確保されており、専門的な人材については総務省からの地域情報化アドバイザーの派遣で対応していました。
Answer. 令和5年4月に、CIOが行う情報化施策に関する方針の立案や、その他情報化施策に必要な事項について、専門的な見地から支援するCIO補佐官2名を委嘱したところであります。補佐官からは、DX推進計画に係る助言や情報提供、計画の施策集作成における助言、庁内におけるDXの機運醸成やデジタル技術の向上に向けた職員研修の講師等を行っていただくこととしており、専門的な見地から助言をいただく人材については確保できていると考えております。
一方、デジタルに関する様々な施策を実施して行くためには、施策の企画立案や制度設計、デジタル技術の実装等を行う人材が必要と考えており、4年度の職員採用試験において職務経験者(デジタル対応)を設け、募集を行ったところであります。残念ながら採用には至りませんでしたが、5年度以降も募集を継続し、DX人材の確保に努めてまいります。
②企業版ふるさと納税(人材派遣型)を活用してDX人材を確保する考えは?
新たなDX人材確保の手段として、企業版ふるさと納税(人材派遣型)の活用を検討してはどうでしょうか。
企業版ふるさと納税は、国が認定した地方公共団体の地方創生事業に対し企業が寄附を行った場合に、最大で寄附額の約9割が軽減される仕組みです。そのうち企業版ふるさと納税(人材派遣型)とは、企業から企業版ふるさと納税に係る寄附があった年度に当該企業の人材が寄附活用事業に従事する地方公共団体の職員として任用される場合や、地域活性化事業を行う団体等であって寄附活用事業に関与するものにおいて採用される場合をいいます。自治体のメリットとして、専門的知識、ノウハウを有する人材によって地方創生の取組をより一層充実強化することができること、実質的に人件費を負担することなく人材を受け入れることができることが挙げられます。
能代市においても、厳しい財政状況の中でDXを推進していくには活用すべき制度だと考えます。
Answer. 同制度の活用には人材派遣を行っていただく企業を確保することや、能代市まち・ひと・しごと創生推進計画の改正といった課題もありますが、デジタルの専門的知識を有する人材を、実質的に人件費を負担することなく受け入れることができる制度と認識いたしております。今後、様々な企業と情報交換しながら、活用に向けた調査研究を行ってまいりたいと考えております。
③DX人材育成に関する計画等を策定し、計画的に職員研修を行うことで効果的な人材育成を図る考えは?
外部人材の任用ではなく、職員のリスキリングによってDX人材の確保を図る自治体もあります。リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得させる学び直しを意味します。
能代市では、CIO補佐官の職務内容にデジタルリテラシーの向上を目的とした職員向け研修の講師も含まれていますが、DX推進計画に具体的な職員の人材育成に関する記述はありません。
Answer. 本市では毎年セキュリティー関係を中心に職員研修を行っております。これに加え、令和4年度は総務省の地域情報化アドバイザー事業を活用し、係長、主席主査級職員35名を対象に、DXに対する理解度やデジタル知識の向上を目的とした職員研修を実施したところであります。
今後は、DX推進計画施策集の中で目的や対象者、KPIを定め、CIO補佐官を講師とした研修等により計画的に人材育成を図ってまいりたいと考えております。
④サテライトオフィス設置等事業補助金の実績と今後の課題は?
能代市DX推進計画では、計画の理念を、デジタル技術やデータを活用して、『いつでも、どこからでも、必要な行政サービスが利用できるとともに、誰一人取り残されないデジタル社会を通じて、「豊かさを実感できるふるさと能代」を実現します、としています。また、当該計画では施策の柱の一つとして、地域のDXが掲げられ、誰一人取り残さず、デジタル化の恩恵を受けられるようにするとともに、地域の活性化を図るための基盤を整えます』とあります。
その主な取組として、「サテライトオフィスの誘致」が挙げられています。サテライトオフィスとは、企業または団体の本拠から離れた所に設置されたオフィスのことで、都市部から地方への人や情報の流れを創出する効果が期待されています。
都市部の企業が地方にサテライトオフィスを設置することは、自然に囲まれた環境により、労働生産性の向上につながる、都市部と比べて家賃等の経費の削減が見込める、災害等の非常時に備えて本社機能を分散できる、地方の企業、学術機関、住民との化学反応により新たな価値を創造するチャンスが生まれるといった様々なメリットがあります。
国は、地方創生の一環として2016年から、お試しサテライトオフィス事業等を通してサテライトオフィスの開設や誘致に取り組む地方公共団体を支援してきました。そして、コロナ禍に入るとテレワークを導入する企業が増え、サテライトオフィスに一層注目が集まりました。アフターコロナとなった現在では、働き方をテレワークから従来どおりの出社に切り替える企業が増えてきましたが、完全に戻すのではなく、テレワークをミックスしながら最適な働き方を模索する企業も少なくありません。したがって、地方において大都市のオフィスと同じクオリティーのICT環境を提供するサテライトオフィスは、今後も都市部のベンチャー企業等から一定の需要があると考えます。
能代市では、サテライトオフィス設置等事業として、県外の企業が市内にサテライトオフィスを設置、運営する事業に対して補助金による支援を行なっています。本年4月には、東急不動産株式会社が旧常盤小中学校校舎を活用し、レンタルオフィス、シェアオフィスを提供するテノハ能代をオープンしました。こうした新たな動きも出てきましたが、様々な地方自治体でサテライトオフィス誘致に力を入れている中で能代市を選んでいただくには、より魅力的な支援を模索していく必要があると考えます。
Answer. 本補助金については、サテライトオフィスの設置や運営を支援する制度として令和3年4月1日より運用しておりますが、現時点で活用の実績はありません。しかしながら、民間事業者が主体となり整備したマルヒコビルヂングにサテライトオフィスを設置している事業者が数社あることから、誘致のポテンシャルは持っていると考えております。
本市において、今後サテライトオフィスを誘致していくためには、風力発電や白神ねぎ、JAXA能代ロケット実験場等の地域特有の強みとICT技術の普及や再造林の促進、シティープロモーションの推進等の地域課題をビジネスの種として掘り起こすことが必要と考えております。これらを効果的に発信し、興味を持っていただいた企業との交渉を丁寧に進め、誘致後には良好な関係を維持することを着実に実施していくことが、誘致の実現とその効果を最大限に引き出すものと考えております。
⑤サテライトオフィスをまちづくりの拠点と位置づけて企業誘致を促進していく考えは?
サテライトオフィスの誘致には補助金も重要だとは思いますが、それ以上に戦略的なプロモーションと民間を巻き込んだ土壌づくりが不可欠であると考えます。移住定住と同様に、都市部の企業に対して能代市の魅力を伝え、サテライトオフィスを構えるメリットを感じていただかなければなりません。そのメリットは、豊かな自然などだけではなく、地域課題であると考えます。企業にとって地域課題はビジネスの種となり、その地にとどまるインセンティブになります。つまりサテライトオフィスは、そこに集った誘致企業、地元企業、住民が少子高齢化や人口減少に起因する地域課題に取り組むまちづくりの拠点でもあるべきだということです。
しかしながら、能代市DX推進計画では、デジタル技術を活用して人口減少や少子高齢化等の諸課題に対応するため、働く場の創出など魅力ある地域づくりに取り組む旨の記載はありますが、あくまでインフラ整備に重点が置かれているように思います。行政も民間も、サテライトオフィスを単なるテレワークやワーケーションの場として捉えるのではなく、まちづくりの拠点だという共通認識を持って誘致に向けて取り組むことが重要だと考えます。
Answer. サテライトオフィスの誘致は、関係人口の創出や人材の定着等、地域の活性化につながるものであります。
市では昨年度から、本市の地域課題の解決や地域資源をさらに磨き上げることができるノウハウを持った企業等とのオンラインマッチング事業を展開し、サテライトオフィスの誘致を進めております。テノハ能代やマルヒコビルヂング等にサテライトオフィスを構える企業が市内の事業者や地域住民等と集い、交流することで、その場所が地域課題に取り組むまちづくりの拠点となることが期待できますので、市といたしましては引き続き誘致に向けて取組を進めてまいります。
※ホームページ用に簡略化して記載しています。正確な質問、答弁内容は能代市議会議事録をご覧ください。
●DXは住民サービスの向上等には必要不可欠です。
しかしながら、人材確保やサテライトオフィス誘致に苦戦していることを考えると、改善の余地が大いにあります。
今後も一般質問等を通して提言してまいります。