令和6年6月定例会で通算9回目の一般質問に!②公共交通(深夜帯の交通空白)

2.公共交通について
①タクシー業界の現状の認識は?

能代市では4事業者が一般タクシーを運行しておりますが、数年前からタクシー台数が減少し、深夜帯の運行を行う事業者がなくなりました。つまり、この地域には24時間営業のタクシーがないということです。全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、タクシー運転手の数は昨年3月末時点で約23万人であり、コロナ禍前の2019年3月末と比べて約6万人、率にして約20%減少しました。こうした人手不足に加えて、働き方改革や運転手の高齢化といった要因もあると考えます。
深夜帯にタクシーの運行がないことにより、飲食店への影響はもとより医療現場にも影響があります。深夜帯に救急搬送された際に、入院せず退院となった場合、または家族が付添いで救急車に同乗した場合、迎えに来る家族がいない方は病院から帰る手段がありません。そうしたケースでは病院の待合室でタクシーの始業まで待たなければいけません。独り暮らしの高齢者、家族と離れて暮らす高齢夫婦、免許を返納した方などが増えるとこうしたケースも増えていくと考えます。深夜帯にタクシーが来ない地域は全国各地にあります。

そうした中で、山口県防府市では夜間タクシー運行支援事業としてタクシー事業者を支援し、夜間タクシーが毎日運行される体制を整備しています。人手不足や運転手の高齢化などの課題に加えて、公共交通に係る財政負担を考慮しなければならず、非常に難しい問題だと思いますが、同様の支援事業は検討できないでしょうか。

Answer.  市内のタクシー事業者からは、人材の確保が非常に難しい状況にあることに加え、運転手の高齢化も進んでおり、身体機能の低下等により、勤務時間帯を日中に変更せざるを得ない状況も増えているとのお話を伺っております。
また、本年4月から旅客自動車運送事業において、時間外労働の上限規制が適用され、働き方の見直しが図られている中で、限られた人員を活用し、市民の移動需要に応えなければならないという点において非常に厳しい状況下に置かれていると認識しております。こうした状況下においても、市内タクシー事業者においては、近年廃止となった路線バスの代替交通手段として予約制乗合タクシーやコミュニティーバスの運行業務を担い、事業としての公共性が高まってきております。さらに、ドア・ツー・ドアで目的地まで短時間での輸送が可能であり、利便性の高い移動手段として地域に不可欠な公共交通であると認識しております。

②深夜帯の移動手段を確保するためにタクシーが利用できる体制を整備する考えは?

Answer.  飲食店等による地域経済の活性化や市民の利便性確保の観点から、深夜帯の移動手段については重要な課題であると認識しております。一方、タクシー業界において運転手が不足し、高齢化も相まって、深夜帯を担う人員が確保できない現状と伺っております。こうしたことから、運転手確保の難しい問題もありますが、事業者等から支援の相談があった場合には、その内容や市の財政状況等を勘案し、検討してまいりたいと考えております。

③日本型ライドシェアないし自治体ライドシェアにより交通空白を補完する考えは?

本年4月に自家用車活用事業、通称日本型ライドシェアが始まり、注目を集めています。タクシー会社が運営主体となり、一般ドライバーが有料で送迎するシステムです。神奈川県三浦市などでは夜間のタクシー不足に対応するために実証実験が行われています。また、自家用有償旅客運送、通称自治体ライドシェアにも注目が集まっています。自治体やNPOなどが運行主体となり、交通空白を補完するライドシェアで、地域住民が運転手として登録されます。石川県小松市で導入され、タクシーが不足する夜間に運行されています。
能代市ではこれまで予約制乗合タクシーコサクルなどにより交通空白に対応してきたと考えますが、夜間から未明の交通空白時間帯への対応についても検討を行うべきではないでしょうか。

Answer.   日本型ライドシェアは、タクシー事業者が運行管理の主体となり、タクシーの補完として地域及び時間帯等を指定して自家用車で運行する仕組みであります。これについては本市にとっても有効な手段となる可能性がありますが、まずはタクシー事業者の意向をお伺いして検討する必要があると考えております。
自治体ライドシェアについては、交通空白地を解消する手段として路線バスやタクシーによる輸送手段が確保できない場合であって、一定の要件を満たす場合に活用できる制度であります。本市では、バスやタクシー事業者に御協力いただき、路線バスや予約制乗合タクシーコサクル等が展開できておりますので、現状では活用できないものと捉えております。

 

※ホームページ用に簡略化して記載しています。正確な質問、答弁内容は能代市議会議事録をご覧ください。

●医療機関の方からのご相談で深夜帯の移動手段の確保が必要であると考え、今回の質問につながりました。ライドシェアや他市の先進事例を参考にしていただき、導入と課題解消に向けて積極的に検討していただきたいと思います。