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令和6年12月定例会で通算11回目の一般質問に!⑤認知症
5.認知症について
①認知症施策の課題は?
政府は認知症の人が暮らしやすい社会を目指す「認知症施策推進基本計画」を今月3日に閣議決定しました。
認知症と共に希望を持って生きるという新しい認知症観が提唱され、国民の認知症への理解促進、本人の意思の尊重、地域の人と支え合いながら安心して暮らせる環境作り、研究で得られた新たな知見や技術の活用の4つの重点目標が示されました。
能代市においても高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画を基に認知症施策が進められていますが、施策の現状はどうでしょうか。
Answer. 高齢化の進展に伴い、認知症の人の数は増加しております。
国では、令和4年の認知症の高齢者数は約443万人、軽度認知障害の高齢者数は約559万人と推計し、高齢者の約3.6人に1人が認知症またはその予備軍と推計しております。
団塊ジュニアの世代が65歳以上になる22年にはその人数が約1,200万人にのぼり、本市では約5,000人と見込まれることから、これらの方々を地域でどう支えていくかが大きな課題となっております。
このような中、本市では、能代市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画に基づき、認知症に対する正しい知識の普及・啓発、認知症に関する相談や出前講座をはじめ、認知症の予防、認知症の人やご家族をサポートする事業を進めております。
具体的には、認知症の早期発見・早期対応の取組として「物忘れ相談プログラム」によるもの忘れのチェック、認知症の人やご家族を支える取組として「認知症家族会」や「認知症カフェ」の開催、「認知症高齢者等見守りシール活用事業」、そして認知症サポーターの養成等であります。
②軽度認知障害(MCI)の啓発を強化する考えは?
最近、軽度認知障害(MCI)という言葉を耳にする機会が増えたと感じます。
MCIとは、認知症と健常な状態の中間のような状態を指し、認知機能の一部に問題が生じるものの、症状の程度が軽く、認知症までは進行していません。
周囲からの支えがあれば、日常生活にはそれほど支障はありませんが、放置してしまうと認知機能がますます低下し、1年で10%、4年で40%が認知症に移行すると報告されています。
一方で早期に適切な治療と対策を行えば、認知症の発症を遅らせることができ、一部の人は健常に戻ることができると言われています。
厚労省の将来推計によると2040年に認知症患者が約584万人、MCI患者が約613万人に達します。
つまり約3人に1人が認知機能に関わる症状があることになります。少子高齢化が加速する中でMCIの段階でいかに対処できるかが非常に重要になってくると考えます。
しかしながら、まだまだ市民にはMCIの認知度は高くなく、正しい理解が浸透していないのではないでしょうか。
Answer. 軽度認知障害とは、ご本人やご家族に軽い認知機能低下の自覚があるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態で、認知症と健常な状態の中間の状態のことであります。
軽度認知障害につきましては、認知症安心ガイドブックに掲載し、配布しているほか、市内の全医療機関に設置するなど啓発に努めております。
また、様々なイベントの際に、タッチパネルを使用した「もの忘れ相談プログラム」により、もの忘れチェックをしていただき、その結果、点数の低かった方には、地域包括支援センターで家庭を訪問し、相談や受診につなぐことにより、認知症や軽度認知障害の早期発見に努めております。
その後も継続的に、認知症予防や日常生活支援サービスの利用を促すなど、ご本人の状態に合わせた支援を行っております。
認知症対策においては、軽度認知障害の段階で認知症に移行せず、いかに引き留められるかが非常に重要でありますので、今後も様々な機会をとらえて軽度認知障害を周知するとともに、運動不足の改善、糖尿病や高血圧等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消等の対応策の啓発に力を入れてまいります。
③診断費用を助成する考えは?
神戸市は認知症の方と家族が安心安全に暮らしていけるよう、65歳以上の市民を対象に早期受診を支援する「診断助成制度」と認知症の方が外出時などで事故に遭われた場合に救済する「事故救済制度」を組み合わせて実施する「認知症神戸モデル」という制度を導入しています。
こうした助成制度は認知症、MCIの早期発見の大きな後押しになると考えます。
Answer. 認知症の検査では、症状や既往歴等を聞き取る問診や認知機能テスト、血液検査、脳の画像診断等が行われます。
これらの検査に係る費用は、医療保険が適用されているため、診断費用の助成につきましては、現在、考えておりませんが、認知症の早期発見につながる取組の一つでありますので、今後、財政状況を勘案しながら、認知症施策全体の中で検討する必要があると考えております。
④行方不明対策
ア. 認知症高齢者等見守りシール活用事業の課題は?
警察庁によると、認知症あるいはその疑いがあり、徘徊などで行方不明になったとして昨年届け出があったのは全国でのべ1万9000人余りで統計を取り始めた以降最も多くなったとのことです。
95%は昨年のうちに所在が確認されましたが、502人は亡くなって見つかり、250人は昨年のうちに発見されていません。
能代市では衣類等の本人の持ち物に貼るQRコード付きシールを交付する「認知症高齢者等見守りシール活用事業」を実施し、認知症高齢者等の早期発見と保護につなげていますが、その活用状況や効果はどうでしょうか。
Answer. 同事業は、行方不明となる恐れのある方の衣服や持ち物に、QRコードが印字されたシールを貼り、万が一行方不明になった際、保護時の連絡や身元確認を支援するものであります。
令和4年7月から事業を開始し、見守りが必要な人の登録を促しておりますが、ご家族の御理解が得られない場合もあり、見守りシール登録者延べ人数は、6年11月末現在、31人にとどまっております。
行方不明者の早期発見・保護が期待できるこの事業では、行方不明になる可能性が高い人の登録や、発見者がこのシールの存在や仕組みを知っていることが重要であり、スマートフォンを使い慣れた若い世代にも浸透させていくことが課題と捉えていることから、今後も市民への周知に努めてまいります。
イ. SOSネットワークを構築する考えは?
SOSネットワークという高齢者等が行方不明になった際に自治体、警察、タクシー会社、宅配業者、介護サービス事業者等の生活関連団体等が捜索に協力して、すみやかに行方不明者を発見保護する仕組が全国の自治体で構築されてきています。
見守りシール事業とSOSネットワークを掛け合わせることで行方不明対策がより効果的に機能していくと考えます。
Answer. SOSネットワークは、高齢者が行方不明となった際に、警察だけでなく、地域の事業所、住民等が捜索に協力して、速やかに行方不明者を発見する仕組みであります。
行方不明者の早期発見には、多くの方の協力が必要であるため、地域見守り協定を締結した団体を含む、様々な機関、企業等との新たなネットワーク構築に向け、検討してまいります。
※ホームページ用に簡略化して記載しています。正確な質問、答弁内容は能代市議会議事録をご覧ください。
●高齢化が加速する中で認知症対策は喫緊の課題であると考えます。
神戸市のように積極的に取り組む必要があると思いますので、これからも認知症や見守り活動について提言してまいります。