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令和6年9月定例会で通算10回目の一般質問に!④移住定住推進
4.移住定住推進について
①さらなる移住増に向けた課題は?
能代市の相談窓口を経由した昨年度の移住者数は66世帯94人で、平成28年度からの集計で過去最多となりました。その内訳を見ると、市出身者によるUターンが37世帯と半数以上、世帯主が10代、20代の移住が28世帯、30代が18世帯と、若者世代の移住が多く見られました。人口減少が著しい能代市において、移住者が増加傾向であること、中でも若者世代の割合が高いことは明るい話題です。
しかしながら、人口動態を見ると、高度経済成長期の終盤である1970年から現在まで、一貫して転出が転入を超過する傾向にあります。
よって、移住者の増加傾向を堅調に維持し、同時に人口流出を抑えることで、転入超過まで持っていくことが重要だと考えます。好調とはいえ、全国の自治体間で移住者獲得競争が行われる中で、さらなる移住増には、効果的な情報発信、魅力ある雇用の創出、子育て支援の強化など様々な課題があると考えます。
Answer. 本市へ移住した方の傾向を見ると、就業を理由とした割合が多くなっていることから、多様なニーズに対応した雇用の創出と安心して働ける環境づくりが重要であると考えております。
令和5年度に実施した人口の将来展望に関するアンケート調査結果では、本地域で就業するに当たり選択できる業種が限られていることに加え、賃金水準や人手不足からくる休暇取得の難しさが課題として表れております。
また、本市の人口構造を見ると、20歳代、30歳代の年齢層の割合が特に低くなっており、男女別では、女性がより少なく、若年女性の転出が多い状況となっております。アンケート調査結果からは、地域社会、家庭、職場等で性別による役割分業の傾向が見られ、このことが女性の本地域に対する不満につながっているものと考えられます。こうしたことから、若者や女性が就業しやすく、年齢や性別にかかわらず暮らしやすい環境づくりに地域全体で取り組む必要があるものと考えております。
②若年世帯移住定住すまい補助金の活用実績からみる今後の課題は?
移住定住推進には住まい、住居も大きな要素であると考えます。大都市では、地方よりも住居にかかる費用が高いため、移住のメリットの一つとして、住居に関する支出が安く抑えられるという点が挙げられます。能代市でも移住定住奨励金による助成、空き家バンクの活用、住宅リフォーム支援等が行われてきました。
また、昨年度から、若年世帯移住定住すまい補助金として、県外から定住を目的に移住する、能代市に住み働く若年世帯に対し、住宅の取得・賃貸に係る費用を補助しています。
具体的には、新築や購入には100万円の補助、さらに、市内に主たる営業所を有する法人または市の区域内に住所を有する個人が施工した住宅の場合は150万円の補助、中古住宅の購入には50万円の補助、さらに、空き家バンク登録物件の場合は100万円の補助、住宅賃貸借の費用には35万円の補助があります。
住宅面での移住のハードルを下げることができる効果的な施策だと考えますが、その活用状況はどうでしょうか。
Answer. 同補助金は、県外から本市に移住して就労する45歳未満の方を対象とし、令和5年度に創設したものであります。
以前は、若年世帯移住定住奨励金の中で賃貸住宅に関わる初期費用助成を行ってまいりましたが、さらに移住当初の経済的負担を軽減するため、最大12か月分の家賃のほか、新築や中古住宅の取得費用も対象経費として拡充いたしました。5年度の実績は6件で、賃貸住宅に係る費用として活用いただいておりますが、制度が開始して間もないため、今後も周知に取り組みながら効果を検証してまいりたいと考えております。
③定住促進住宅を整備する考えは?
収入がそれほど高くない若者世代にとって、住宅の新築や購入は、ハードルが高く、空き家バンクにおいて状態のよい物件はそれほど多くないと思います。また、賃貸住宅を借りる場合であってもニーズに合う物件も多くないと考えます。
そうした中で、定住促進住宅を整備する自治体が増えています。中でも茨城県境町では、民間企業の経営ノウハウや資金を活用する公共事業の手法であるPFIを活用することで財政負担を抑えつつ、定住促進住宅を整備しています。
境町では、促進住宅に25年住み続けると、土地と住宅を無償譲渡する制度を設け、移住定住のインセンティブとしています。境町は、促進住宅の整備と子育て支援や英語教育の充実等を一体的に進めることで移住者が増えており、転入超過の傾向が見られます。
Answer. 移住を検討する上では、住まいに関する支援も重要であると考えており、市では、これまで賃貸住宅に係る費用助成、住宅リフォーム支援事業といった経済的支援に加え、空き家バンクの運営や移住体験ツアーを活用した住まい探し支援等を実施してまいりました。
本市に移住された方の居住形態は、本人や配偶者の実家や親族宅、賃貸住宅や社員寮入居、新築や中古住宅購入等様々で、各世帯の希望や条件により選択し、住居を確保されているものと認識しております。
こうしたことから、現在のところ、定住促進住宅の整備については考えておりませんが、移住後の住まいに関するニーズや市内の住宅供給状況等の動向を見極めながら、本市に適した住宅支援制度について研究してまいりたいと考えております。
④区域外就学制度を活用した教育留学制度「デュアルスクール」を導入する考えは?
徳島県では、地方と都市の2つの学校の行き来を容易にし、双方で教育を受けることができる「デュアルスクール」という制度を推進しています。
区域外就学制度を活用することで、都市部に住民票を置いたまま保護者の短期居住に合わせて学籍を異動させ、1年間に複数回の行き来も可能になります。
学籍異動により、受入れ学校での就学期間も出席日数として認められます。このデュアルスクールは、地方と都市の交流人口・関係人口の増加による地域活性化、地方移住の促進等を目的としており、二地域居住、サテライトオフィス勤務、ワーケーションといった幅広いニーズにもマッチする制度です。
現在、徳島県だけでなく愛媛県今治市、長野県松本市、山形県高畠町など全国に広がってきました。秋田県でも、豊かな教育資産を生かして県外の児童生徒が秋田での学びを目的に来県する教育留学の取組を推進しています。
一方、能代市では、教育留学ではなくオーダーメード型移住体験ツアーの中で、教育・子育て環境体験特化型コースを設けており、小・中学校での授業体験等ができるようになっています。この体験ツアーも有効な手段だと考えますが、区域外就学制度を活用し、教育留学として子供たちを受け入れ、能代市の強みである教育環境を十分に伝えることで移住増につなげることができると考えます。
Answer. この制度は、徳島県に本社を置く民間企業が同県で開始したプログラムで、小・中学生が都市部から地方あるいは地方から都市部の学校に数週間転校し、保護者と共に双方の生活を体験するものであります。
全国では、小・中学生に限らず幼児や高校生を対象としたものなど、様々な教育留学制度が行われております。子供時代に居住地以外の地域に一定期間滞在し、ふだんとは異なる教育環境や生活を体験する制度は、多様な価値観の醸成や交流人口の拡大、関係人口の創出等といった効果が期待され、ひいては移住につながる可能性もあることから、大変意義のある取組であると考えております。こうした教育留学制度の実施について研究してまいりたいと考えております。
※ホームページ用に簡略化して記載しています。正確な質問、答弁内容は能代市議会議事録をご覧ください。
●今回は住居・教育面にフォーカスしてこれまで質問してこなかった視点で移住定住推進について質問させていただきました。
人口減少・少子高齢化が加速する中で移住定住推進は重要な施策の柱の1つと考えますので、様々な視点から提言を続けてまいります。