令和6年9月定例会で通算10回目の一般質問に!③孤独死対策

3.孤独死対策について

①高齢者のみの世帯と高齢者単身世帯の推移からみる今後の予測は?

近年、少子高齢化が進み、高齢者等が近隣の方々に気づかれずに亡くなり、相当日数がたってから発見される孤独死の問題がより一層顕著になっています。

警察庁によると、本年1月~3月に独り暮らしの自宅で亡くなった65歳以上の高齢者が約1万7000人確認され、数値を年間ベースに単純に置き換えると、約6万8000人の高齢者が独居状態で死亡していると推計されています。
能代市の高齢化率は40%を超え、今後も上昇することが見込まれます。全国的に65歳以上の独り暮らしの高齢者は増加傾向にあり、少子高齢化が著しい能代市では、今後、ますます高齢単独世帯が増加していくと考えます。

Answer.  高齢者のみの世帯と高齢者単身世帯の推移からみる今後の予測はについてでありますが、本市の令和5年の2人以上の高齢者世帯は3,708世帯、独り暮らし高齢者世帯は6,090世帯、計9,798世帯となっており、高齢者人口は徐々に減少するものの、独り暮らし高齢者世帯数は、当面、現在と同水準で推移していくものと考えております。

②現状の防止策は?

少子高齢化が全国的に進む中で、見守り活動といった地域全体で見守る仕組みの構築が様々な自治体で進められています。また、孤独死は、社会的孤立が背景にあるケースも少なくなく、ひきこもりへの対策等も関わる複合的な問題であり、多岐にわたる対策が必要です。

Answer.  在宅の独り暮らし高齢者世帯等の見守りや相談を受けるため、社会福祉協議会の巡回相談員や地域包括支援センター職員、民生委員等による家庭訪問のほか、配食サービスやふれあい安心電話により安否確認等も行っております。
また、ひきこもり、閉じこもりへの対策としては、社会福祉協議会がまるっとステーションを開設しているほか、重層的支援体制整備事業のアウトリーチによる実態把握等、複数の事業を組み合わせながら予防、支援に取り組んでおります。

③今後の課題は?

Answer.  独り暮らし高齢者世帯への対応として、若い世代だけではなく、高齢者自らも含め地域全体で見守る体制の強化が課題であると考えております。

これまでの取組を引き続き行っていくほか、10月には、秋田県生活衛生同業組合能代山本地方連絡協議会と地域見守り活動事業に関する協定の締結を予定しており、今後も高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、地域包括ケアシステムの深化、推進に取り組んでまいりたいと考えております。

④市営住宅の入居に係る保証人の取扱い
ア. 本市の現状は?

単身世帯の増加、持家率の低下等が進み、高齢者の賃貸住宅への居住ニーズが高まることが見込まれています。一方で、多くの大家は孤独死の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っています。非常にセンシティブな話ではありますが、孤独死に伴う清掃、いわゆる特殊清掃は専門業者が行うもので、数十万円程度と高額になる傾向があります。よって、高齢者は、金銭面・健康面のリスクが高い、連帯保証人を立てられない等の理由で信頼性が低いと判断され、入居を断られるケースが多いのが現状です。
そうした中で、本年5月30日に住宅セーフティーネット法改正案が可決・成立しました。住宅セーフティーネット法は、高齢者等の居住に課題を抱える人を住宅確保要配慮者と定義し、入居しやすい賃貸住宅の供給促進を図ることを目的とするものです。今般の改正では、大家が賃貸住宅を提供しやすく、高齢者等の要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備が盛り込まれました。具体的には、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度が創設されます。

家賃債務保証とは、入居希望者が賃貸住宅を借りやすくするための制度で、賃貸住宅の契約を締結する場合に、保証会社が借主の連帯保証人に近い役割を果たすものです。借主が契約期間中に家賃等を滞納した場合に、保証会社が一定範囲内で立て替えます。
保証人が立てられない等の高齢者の賃貸住宅に関する問題は、民間の賃貸だけでなく公営住宅も同様です。公営住宅の入居の際、連帯保証人に代わって指定する家賃債務保証業者と保証委託契約を締結することで入居を認める自治体もあります。この保証制度は、入居へのハードルを下げるだけでなく、大家である能代市にとっても家賃滞納を防ぐ、孤独死のリスクを低減するメリットを得られます。

Answer.  能代市営住宅管理条例において、入居の際は、原則として連帯保証人の連署する請書を提出することとしておりますが、住宅困難者への住宅提供という目的を踏まえ、高齢者や障がい者等で2親等以内の親族がいない場合は、身元引受人を届け出ることで連帯保証人を免除することができるとしております。

イ. 家賃債務保証制度を導入する考えは?

Answer.  単身世帯の増加、持家率の低下等により、高齢者や低額所得者等の要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが高まることが想定されております。一方で、孤独死や死亡後の残置物処理等の課題への不安から、要配慮者に対する賃貸人の拒否感が大きくなっていると考えられます。
こうしたことを背景として、令和6年5月30日に住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部改正案が成立し、賃貸人が住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる環境の整備が盛り込まれ、この中で家賃債務保証業者の認定制度が創設されることとなっております。

この制度は、入居者と保証業者が締結する契約に基づき、家賃等の滞納が発生した場合は、保証業者が一定の範囲内で立て替えるほか、入居者が死亡後の残置物の処理まで保証されることから、賃貸人のリスク低減につながるものと考えております。
しかしながら、契約の際には、入居者は、保証料を支払う新たな負担が生じるほか、家賃等の保証期間が限定される等の課題もあることから、市として本制度を導入することについては、情報収集に努めるとともに、他自治体の状況も注視しながら検討してまいりたいと考えております。

⑤居住支援協議会を設置する考えは?

改正住宅セーフティーネット法では、住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化も盛り込まれ、市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務化されます。

居住支援協議会とは、高齢者等の要配慮者の民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体や関係業者、居住支援団体等が連携し、要配慮者及び賃貸人の双方に対し住宅情報の提供等の支援を実施するもので昨年3月31日時点で87市区町が設立しています。

こうした官民連携は、高齢化が加速するとますます重要になってくると考えます。

Answer.  同協議会は、要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居し、安心して暮らしていくことができるよう、地方公共団体や不動産関係団体、居住支援団体等が連携し、要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し、住宅情報の提供等の支援を実施するものであります。
現在、本市は、平成27年に設立された秋田県居住支援協議会の会員になっておりますが、法律の一部改正により、市町村による協議会の設置が努力義務とされることから、今後、設置に向けて検討してまいりたいと考えております。

※ホームページ用に簡略化して記載しています。正確な質問、答弁内容は能代市議会議事録をご覧ください。

●近年では高齢者の孤独死だけでなく、若者世代を含む「社会的孤立」がクローズアップされるようになりました。

高齢化が進行する中で国もこの問題に本格的に取り組み始めましたが、市としても十二分に注視していく必要があると考えます。